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「ステーシーズ」について少し語りたいと思う。
(未見の人はネタばれに注意してください)
この作品を論ずるなら、やはりジョージ・A・ロメロ監督の
ゾンビ三部作あたりに言及するものだろうが、
あっしはこの手の作品を見ると思いだす一篇がある。
藤子・F・不二雄の「流血鬼」というSF短編マンガである。
これは、リチャード・マシスン「地球最後の男」の翻案であるのだが、
子供の時にこの「流血鬼」を読んだ時の衝撃は強烈だった。
短編ながら、実に深く考えさせられるストーリーである。
藤子不二雄少年SF短編集 (第2巻) (てんとう虫コミックス―別コロ版)
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「ステーシーズ」も面白いといえば面白かったが、
各エピソードが関連し合っているわけではなく、
むしろ独立している。
1.詠子(れいな)と渋川の話
2.モモ(りほりほ)と有田の話
3.ドリュー(くどぅー)の話
ステーシーがしゃべりだし(モモのエピソード)、
やがて心を持ちだす(だ―いしのエピソード)ところまできて、
この先どうなるのか?と思わせたところで、
詠子のシーンにもどるのでアレ?という肩透かしを食った気分になる。
3のエピソードがやはりクライマックスで、
ロメロ再殺部隊が恐怖に取りつかれ、まだ死ぬ前の(ゾンビになる前の状態の)
ニアデスハピネスを殺すという暴挙に出る。
これは戦争状態における人間の狂気を風刺したものであろう。
いっぽうで、ステーシー(だーいし)と人間が恋に落ち、
駆け落ちをするという救いも描かれている。
ここまではとても面白い。
見せ方次第でさらに深い話ができると思った。
で、詠子のシーンに戻るのである。
愛する者に再殺される、愛する者を再殺しなければならない、
この葛藤を描きたいのは分かるが、
このエピソードはもう2で既出なのである。
詩人と呼ばれる預言者のような男が中原中也の詩を呟くが、
愛する者が死んだ時は、自分も自殺しなければなりませんと言っておきながら
最後は自殺するわけでもない(奉仕はした=再殺した)。
謎である。
原作を忠実に舞台化しているのかどうか、
いかんせん読んでいないので分からないのだが、
構成に工夫を凝らせばさらに感動的な舞台となったような気がする。
なお、音楽は筋少(筋肉少女帯)のものを使用しているらしい。
オーケンファン、筋少ファンにはたまらない舞台かもしれない。
○
SFつながりでもう一つ。
5日、抒情SFの巨匠レイ・ブラッドベリ氏が91歳で亡くなられた。
素晴らしい作家がまた一人世を去ってしまった。
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ブラッドベリ氏の魂はいまも、カプセルにのって
宇宙を旅し続けていることだろう。